「えっと、あのときは、体が勝手に動いちゃって……」
しどろもどろにそう答えると、智哉は唇をかんだ。
「俺は、金の受け渡しを撮影するって言ったのに……」
「あぁ、うん、そうだったね。
……ごめん」
そう、たしかに智哉はそう言っていた。
そのビデオをあとで雄太に見せて、お金を取り戻す作戦だったんだよね。
あたしは、それを台無しにしたんだ。
言い訳のしようがない。
そっか、それで智哉、怒ってたのか。
でも。
目の前で、雄太がお金を受け取るのを黙って見ているなんて、あたしにはできなかったんだ。
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