「ねぇ、智哉、どうしたの?」 智哉の不機嫌の理由がわからなくて、前を行く智哉に呼びかけた。 静かな駐輪場に、あたしの声が響く。 すると、智哉はやっと足を止めた。 でも、振り返ってあたしを見た顏は、まだふくれている。 だけど、訳もわからないまま、こんなふうなのはイヤだ。 あたしは、智哉に近づいて、もう一度聞いた。 「ねぇ、なに怒ってるの? あたし、なにかした?」 すると、智哉はやっと口を開いてくれた。 「なんで雄太のことなんか心配すんだよ?」 「……え?」