黒縁メガネ男子に恋してる


駅の方から、徳井さんが歩いて来た。


そして、その10mくらい後ろに、雄太の姿。


徳井さんが、ネオンの消えた1軒の飲み屋の前で立ち止まると、


辺りを警戒しながら、雄太が近づいてきた。


「おばあさん、こんばんはー」


雄太は、明るく徳井さんに声をかける。


「あ、このあいだの……」


徳井さんが雄太に気づくと、


「あっ、俺のこと、覚えてくれてた?
また、おつかい頼まれちゃってさぁ。
今日もおじさんに渡すもの、預かるよ!」


雄太はあくまでも、徳井さんの息子さんに頼まれたっていうお芝居を通すつもりらしい。


ったく、よく言うよ!