「綾華の言いたいこともわかるよ。
たしかに悪いのは、野苅家たちの方だと思う。
だけどさ……」
そこで智哉は口をつぐんだ。
視線をさ迷わせて、言葉を探してるみたい。
しばらくすると、再びあたしの方を見た智哉は、強い調子で続けた。
「もしも野苅家たちが心を入れ替えたとしてもさ、あいつらみたいな考え方をするヤツらって、いくらでもいるんだよ。
それが、世間ってもんだと、俺は思う。
だけど、中嶋は今、それに対抗しようとしてる。
世間の偏見の目に対抗するために、やせようとしてる。
俺は、それはそれで、アリ、だと思うよ」


