黒縁メガネ男子に恋してる


「デブって……、そんなことないよ。
真喜子は、たしかにちょっとぽっちゃりだけど、デブってほどじゃないよ?
それに、顔だって十分かわいいし。
メイクしたら、高校デビューだってなんだってできるって!」


真喜子は、色白で、肌もきれいだし、絶対メイク映えする顔立ちだと思う。


でも、真喜子はかたくなに首を振る。


「さっき、万引きしに行こうとする直前に聞こえたの。
ひびきたち、陰で私のこと『あのデブ』って呼んでた」


「そんな……」


「いいの。中学の頃から、ずっとそうだったんだから。
でも綾華ちゃん、私、もうこんな情けない自分はイヤなの!
私、やせたい!!
やせて、ひびきたちに、もう『デブ』なんて言われないようになりたいっ!」


真喜子の気持ちはわからないでもないけど、でも、人は見た目じゃないよ。


「真喜子はすごくいい子なんだし、べつにやせなくても……」


あたしが、そう主張しようとしたとき。