ドライバーなんて、そう何度も使ったことないけど、思いのほかうまくいった。 「へぇ、うまいもんじゃん」 智哉にもほめられ、いい気分でネジをしめていく。 「できたっ!」 「よしっ、オーケー! じゃぁ、あっちに運ぶから、そっち持って」 「うんっ」 遼子さんの部屋に、ふたりでできあがった本棚を運び込む。 でも、部屋に、遼子さんの姿はなかった。 「あれ、遼子さん、どこ行ったんだろ?」 「アイツ、またサボってんな。ったく!」 智哉、口ではそう言ってるけど、そんなに怒ってないくせに。