「綾華、なに妄想してんの?」 隣に並んだ智哉に、ニヤニヤしながら顔をのぞきこまれた。 「なっ、べつになにも妄想なんかしてないわよ!」 怒鳴るようにそう返すと、智哉はクスクス笑っている。 く、悔しい……。 話題を変えよう。 「と、智哉の家って、どの辺なの?」 「南中(みなみちゅう)のすぐそば」 南中は、あたしの通ってた東中(ひがしちゅう)の隣の学区の中学校。 駅からだと、10分ほどの場所にある。 とにかく、行ってみるしかないか。 あたしは、覚悟を決めて、黙って智哉についてくことにした。