「昨日、綾華たちが帰ってくるのを待ってる間、あたし、ここの窓から、校門の方、見てたんだ。
そのとき、ふたりが手つないで走ってくるの、見えちゃったんだよねー」


ニヤニヤしながら、あたしの腕をつつく菜々美。


「えっ、ちょっ、それは誤解!
誤解だから!」


思わず声が大きくなり、クラスメートたちの視線をあびて、身を縮める。


ヤバッ!


あたしは、菜々美の肩を引き寄せ、怒った声でささやいた。


「あれは、あたしが走るのが遅くて、引っぱられてただけ!
あたし、智哉のことなんて、全然、そんなんじゃないからね!」


「えー、そうなの?
だって、綾華、今日一日中、智哉の方ばっか気にしてたじゃん?」


うっ、それを言われると……。