午後の最初の授業のあと、あたしが、前の方の智哉の席を見て、ため息をついていると。
「ほらね。智哉って、モテるでしょ?」
菜々美があたしの視線を追って、話しかけてきた。
「えっ? あ、あぁ、そうみたいだね」
作り笑顔で、あわててそう返すと、菜々美は意味ありげに声をひそめる。
「でも、智哉、ケー番もメアドも、まだあの子たちには教えてないらしいよ。
さっきトイレで話してるの、聞いちゃったんだ」
「へぇ、そうなの?」
「うん。だから、綾華、一歩リード。
早めに仕掛けちゃいなよ!」
「えっ? 仕掛け……?」
びっくりして菜々美を見つめると。


