智哉があたしの腕を引き、耳元でささやいた。


「おい、簡単に協力する、なんて言うな!」


え? なんでよ?


あたしは智哉を見返し、ささやき返す。


「べつに、簡単になんて言ってないよ」


「あのなぁ、わかってんのか?
これは、あきらかな犯罪だぞ。
こういうことは、警察に任せて……」


「だって、徳井さんは警察には届けないって言ってるのよ?
だったら、あたしたちでお金取り返すしかないじゃない!
うちの生徒だっていうんだし、あたしたち、おばあさんにお世話になったんだから、恩返しするのは当然でしょ!」


「いや、でもなぁ……」


まだなにか言いかけてくる智哉を振り切って、あたしはケータイを取り出した。