「振り込みだと記録が残って奥さんにばれちゃうから、取りに行くって。
でも、自分は会社があるから、知り合いの高校生を行かせるから渡してくれって、言ったんですって」


「で、現れたのが、うちの制服を着た、金髪混じりの茶髪の高校生だったと」


「そうらしいのよ、ね?」


矢崎さんが聞くと、徳井さんは小さくうなずいた。


口の重い徳井さんの代わりに、矢崎さんが話を続ける。


「徳井さんとこの息子さん、エリートなのよー。
横浜に家を買って、奥さんと中学生のお子さんふたりと暮らしてて。
でもね、ちょっと、親に対してきついところがあるっていうか……」


矢崎さんがそう言いかけると、徳井さんがやっと口を開いた。


「矢崎さん、ホントにもういいの。
あたしがちゃんと確認しなかったのがいけないんだから」