大丈夫、そばには誰もいない。
ほっとしていると。
「それ、うちの高校の生徒っていうのは、確かなんですか?」
智哉がまた冷静な表情で、徳井さんに聞く。
「制服がね、あなたが着てるのと同じだったのよ」
徳井さんは、申し訳なさそうに、智哉の制服を指差した。
うちの高校の制服は、男女ともに、上は紺無地、下はグレーのチェックだ。
近くに同じような制服の学校はない。
「あ、でもね、あたしも悪かったんだから。
矢崎(やざき)さん、ホントにもういいわ」
そう言う徳井さんに、キツネ顔の矢崎さんは、怒ったような声を出した。


