「あたし、家ここなんだ」
「そっか。じゃあな」
「ほんと、ありがとう」
「なんか、ちゃんと言われると
こっちが照れるな。じゃあ! 」
「おやすみー」
あたしは玄関に入ってすぐに
もう1回外に出た。
…やっぱり。
有岡は今来た道を、
戻って行った。
家、全然違う方向だもん。
あの時やっぱりいいよって
言えば良かったかな。
…でも、本音を言うなら
有岡だから言わなかった。
有岡だから送ってもらった。
送ってもらいたかった。
きっと傘をさしていない
あたしをうしろから見つけて、
優しい有岡は
ほっとけなかったんだと思う。
有岡がただすごく
優しい人なだけ。
…そう思わなきゃだめ。
でも、ちょっとやっぱり
期待しちゃうよ。
有岡の中でもあたしは、
特別な女子なのかな…って…
