聖石戦隊 キラレンジャー

「哲平くん、聞こえた? 悪魔がね」

「悪い、悠月・・・」

振り返らないまま、呟いた。

「いまの俺じゃ足手まといになっちまう。俺は、今回は・・・」

悠月の息を切らした呼吸音だけ響いている。

五秒ほど沈黙した。

「哲平くん」

悠月は笑顔とは違う、やわらかな瞳で真っすぐ彼を見つめている。

「哲平くんの心、蛍ちゃんの分まで、あたしが埋めてあげるから。仇討とう」

若干うつむいたように見えた。小刻みに震えはじめる。

それでも、なにも答えてくれない。

「もうー、分かったよ!
みんなの元気が出るまでひとりでがんばるしかないね!」

悠月はその場で変身して、そのまま飛び降りていった。

キラアームが作動したままなことに、その時は気付かなかった。



   *      *      *



「みんなを解放して、早く帰ってください!」

悠月は、校庭でインキュバスとサキュバスのふたりを向かいに立っていた。