しかし昼休み終了間際、春風が走って1組にやってくる。
落ち着いた春風が走るなんて珍しい。

「日向子ちゃん、見つかったから大丈夫みたい」

「あ、そうなのー? よかったねー」

「うん、心配かけてごめんね」

それだけ言うと、あっさり7組に向かって戻っていった。

「あれぇ・・・なんかご機嫌ナナメだったかなあ?」

ちょっと気になったので、放課後、哲平たちと7組に押しかけることにした。

「春風ちゃん! つぶあんバーガー買ってきたよー!」

春風は悠月の両手のバーガーを見て、引きつった笑い方をする。

「いえ、けっこうです・・・」

「え、姫に負けないスイーツ好きなのに?」

健介が言うと、悠月も首をかしげる。

「じゃあ健介くん食べるー? これあんま得意じゃなかったよねー?」

「いや、でも誰もいらないならもらおうかな」

「うん、じゃあジュース買ってこよっと。それなら春風ちゃんもいるよね」

「僕も行くよ」

ふたりは教室を出る。

哲平は立ったままだったが、部屋から誰もいなくなると、春風の近くの席に鞄を置く。
なんか無言なのも気まずいな。