聖石戦隊 キラレンジャー

「まだ、進路決めきれてなかったんです。日向子ちゃんがここにするって言うので」

「双子のお姉ちゃん、ほんとにどっちか分かんないくらいそっくりだよねー」

「はい。
でも夢は別々になりました。私は、お医者様を志望しています」

シャープペンをくるくる回してみる。

そんな遠い世界の話、知識もないし自分には関係ないと思っていた。

「ここから医者ってけっこう大変なんじゃね?」

「佐々木くんが思ってるほど、高城台高校は偏差値低くないですよ? これから努力すれば、佐々木くんも東さんも早応大学目指せます」

「いや無理だろ」

思わずシャープペンを落としてしまった。

なんか発想がぶっ飛んでるな。天才の考えることはよく分からない。

「あはは、無理だろーね。春風ちゃんくらい頭良くないとだ」

ペンを拾おうと腰をかがめる。

上を何かが掠めて通った。

「春風ちゃん!」

頭を上げると、窓の外、悪魔が春風を連れ去ろうとしているではないか。

「悪魔ベリス!
年齢離れした頭脳明晰、キラレンジャーにも認められるのはパワーストーンを持っているに違いない!」

「そんなの知らないよー! 春風ちゃんを返せーっ」

悠月はすかさず変身し、窓に向かって駆け出した。なにを思ったかそのまま窓枠から飛び立つ。

おいおい、ここは三階だぞ。