「哲平、なにか落としたぞ」

健介がすっと袋を投げてくる。

「ああ、悪い。これなくすとまずいんだ」

キャッチして苦笑すると、健介が覗き込んできた。

「なんなんだ、それ?」

「これは昔、悠月が・・・」

「あー、哲平くん、健介くーん」

廊下の向こう側から悠月が歩いてきた。両手いっぱいに新聞など書類を抱えている。

隣で同じように資料を運んでいるのは、

「柿崎、お前珍しいな」

健介と同じ2組の、柿崎陸-かきざき りく-。

「あ、あたしが手伝ってってお願いしたのー。ほら、次の現社、1組2組合同でしょ?
柿崎くんも日直だったみたいだから」

哲平も陸には、ちょっと近寄りがたいイメージを持っていた。同じバスケ部だが話したことはない。

陸の顔をまじまじ見る。

高い身長と綺麗な顔立ち、男から見てもカッコイイ。いかにもクールって感じだ。