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「やっぱりたい焼きは、スペシャルりんごカスタードに限るねー」

「悠月、お前それ、時代先取りすぎだろ・・・」

悠月は口の横についたクリームを人差し指で拭った。

「えへへー、おいしーんだよ。今度は哲平くんも食べようね」

子供のように指をぺろぺろしながら、彼女は穏やかに笑う。


東悠月-あずま ゆづき-。

同じ高城台高校の友達。家も隣だし、小学校、中学校も一緒で、いわゆる幼馴染ってやつだ。

おっとりしてて脳天気な性格だけど、チアリーディング部のエースとかやってる。

本当、世の中って分からないものだな。


悠月は哲平の分も包み紙をゴミ箱に捨てると、ブランコに戻ってきた。

もうひんやり感じる秋の夕暮れ。高校生が部活を終えるこの時間、公園に人影はなかった。

「なんか最近、ショッカーみたいなのが街に出てきて暴れてるらしいよ。怖いねー」

突然現れて、無差別に人を襲ったり、建物を破壊したりしているようだ。

正体も目的も分からない。

不思議な術を使うのに、警察も手を焼いている。