聖石戦隊 キラレンジャー

「悠月。いいか、これが本当に最後なんだ」

陸は真剣な眼差しで見つめる。

「例え誰かが命を落としたとしても、世界平和のために戦い抜かなくてはならない」

「大丈夫だよー。絶対誰も死なないよ、だって約束したもん。ひとりにはしないって。
それにほら、正義が勝つって昔から決まってるでしょ?」

悠月は無邪気に笑った。

「陸くん、一緒に平和になろうね」

あったかい。

陸は、微笑み返す。

「そうだな」

うんと頷いて、それから悠月は春風のうしろにまわると、背中を思いっきり押した。

「きゃあっ。悠月ちゃん、そんなに押さないでください」

「これから悪魔と対決なんだから、ここで体力使っちゃもったいないよー。
春風ちゃんはあたしが押してってあげるから、みんなで頂上まで競争ね!」

女子ふたりできゃいきゃい言いながら走っていく。

春風もああやって笑っていたほうが疲れなくて済むだろう。

「ほんと、姫といると脱力するな」

健介が笑うと、遠くから悠月が叫ぶ。

「一番負けた人が、全員分たい焼きおごりねー!」

げっとふたりも駆け出した。

付き合う気のない陸に、哲平が手招きする。

「あいつまじで買わされるぞ。しかも三つ食うからな、ひとりで三つ!」