また改めて連絡する、と陸に名刺のようなものを渡して、その日は三人帰っていった。

「めんどくさいな」

陸はぼやく。



   *      *      *



その週の土曜日からさっそく撮影がはじまった。

哲平は、悠月、健介とともに主に雑用担当。

洋画風のアクション映画で、陸は世界を守るスーパーヒーローカイト、春風はそれに協力する科学者マイ。

台本ってそんなすぐ作れるものなのか。

服装はキラレンジャーのコスチュームにお手製のマントを羽織って、まるでブラックナイトの頃のよう。
胸にスーパーヒーローのマークを縫いつけられていた。

普段時は吉倉芸術高校の制服と白衣を使い分けていた。

撮影は順調。

陸はさすが元々ひとりで悪魔と戦っていただけあって、難しいアクションも楽々こなしていった。悔しいけどかっこいいぜ。

ただふたりとも芝居が本当に下手。

台詞も相当少ないのに、撮影時間のほとんどは演技指導に使ったんじゃないだろうか。

それでも日々成長していたようで、終盤にはなんとかアマチュア映画らしくなってきた。