ある金曜日。

最近は殊にキラレンジャーメンバー五人で昼食をとることが増えている。

「春風ちゃん、四ヶ谷駅の近くに可愛い喫茶店できたんだって」

今日も悠月が新しいお店を発見してきたようだ。

「そこのはちみつチーズケーキが美味しいらしいよー。ねねー」

「ごめんなさい、明日は上政大学で山本教授の講演会があるの」

春風はいったん箸を置いて残念そうにした。

「とっても行きたいんですけど、彼はいま医学界の第一人者で、臨床学を」

「ああ、よく分かった。難しい話はおいとこう。近いじゃねえか」

哲平が素早く遮る。

春風は大好きな学問のことなら、相手が理解していようがいまいが語り尽くす癖がある。

確か上政大学の最寄りは四ヶ谷駅だ。

「そうだねー、お話どれくらいかかるの?」

「一時から二時間くらいですね」

「うんうん、じゃあみんなで待ってるよー」

みんな?

男子三人顔を見合わせる。

悠月と春風でケーキを食べに行く話じゃなかったのか。

健介は相変わらず笑っていたし、陸にしても動じていなかったが、哲平は机に肘をついて説教しはじめる。

「おい悠月、みんなって誰だ」