時の流れが変わった。一瞬の出来事のような気もする。とてつもなく長い時間だったような気すらする。
人を怯えさせるのは得意だった自分が、負けたと感じたのはあの時以来だ。
あの時と違うのは、目に見える行為ではなく周囲の張り詰めた空気、彼女のただならぬオーラに追い詰められたということだ。
この少女、侮れない。
「ノアって誰?」
彼女からの質問に違和感を覚えたのはきっと“ノア”の声で言われたからだ。
「君によく似た男だよ」
ぼそっと答えると、何かに納得したらしく首を小さく縦に降っていた。
「じゃあね。さっさとお家に帰りなさい、騎士くん」

