勿忘草



どれほど歩いたのだろうか。
食べるものもなく、行くあてもなく、ただ一人で歩き続けていた。

逃げたかっただけなのかもしれない。だけど、自分の決めたことに後悔はしていない。いや、むしろ後悔だらけだったからこその決断だったのかもしれない。

草原は広く、見渡す限り何もない、誰もいない。身体が求めるがままに柔らかい地面に腰を下ろした。全身の体重を土に預けて空を見上げると、雲一つない晴天に包み込まれた。

だめだ、思い出してしまう。

空から顔を背けたら、自分の隣に小さな花を見つけた。

やっぱり、思い出してしまう。

思い出したくなんかないのに。どうして俺の目に写るんだ。

この花の色も、あの空の色も、

あいつの目と同じだ。