今にも閉じてしまいそうな瞼をなんとかあげ、息を止めるようにして視線だけを横にずらす。すぐ真横でユリが眠るように横たわっていた。真っ白だったワンピースは、今では白い部分を探すほうが難しいほど、血に染まっている。手を伸ばせば血に濡れた地面に触れられそうだったが、そんな気力はもうなかった。
唯一の救いは、俺の視界にユリの顔が映らないことだった。見えるのはユリの丸くなった背中だけ。もし動かないユリの顔を見ていたら、俺はどうなっていたことだろう。
助けなくてはという気持ちは微塵もわかなかった自分は、どれほど非情な人間なのだろうか。動かなくなったユリの目が、俺を責めるかもしれない。もしかしたらその指が動いて俺を殺そうと首を絞めるかもしれない。しかし、何よりもユリの目が恐ろしかった。あの強い目力。吸い込まれそうな眼。開いたままのユリの目を見るには、今の自分には罪悪感が強すぎるのだ。
ユリの傍は心地よかった。失いたくないと思っていた。
それなのに――。
知らず流していた涙が、頬を伝い赤く染まった地面にいくつも落ちた。



