次の日も。その明くる日も。
俺は夜中、太陽が沈んでから三番地の近くにある池を訪れた。ユリも必ずいた。池が近づくと、彼女の歌声が遠くから聞こえてくる。その声を聞きながら、星を眺めつつ歩くのが楽しみだった。
池に着くと、ユリは俺の姿を見つけて歌うことをやめる。「よく来たね」と言いそうに目が笑う。そんな一連の流れが、いつしか好きになっていた。
なぜか、ユリの傍にいる心安らぐ自分に気づいたのだ。
苛々していた気持ちが、すっと溶けるように消える。ユリと過ごす時間は少ない。その間、話すこともそんなにない。お互いそれぞれの思いを抱きながら、静寂の時間をただ二人で過ごすだけ。時おり俺が話しかけ、ユリが砂場に文字を書く。味気ない会話が二、三とあるだけなのに、不思議と息苦しさはない。
彼女が自分と同じように感じているかはわからないが、時おり聞こえてくる彼女の鼻歌を聞けば、そんな考えも馬鹿らしいと思えるのだ。
そんな日々が一週間近く続いたある晩だった。
「お前らか? 最近俺らの水を盗ってるって奴らは」
数人の男がぞろぞろと池に近寄ってきた。そのうちの一人が、不快をあらわにした表情で睨みつけてきた。



