プルルルル…、プルルルル…


ある朝、私の携帯が鳴った。

眠たい目をこすり携帯を取った。

ディスプレイには“ハル”の文字。

ハルは私の彼氏だ。

正確には元彼。



「…はい。」

「………。」

「?もしもし。ハル?」

「もしもし、杏里さんですか?」

「そうですけど…。」



電話にはハルじゃない、女の人がでた。

浮気か?って思ったけど、

すぐ違うと思った。


だって杏里さんって言ったから。

普通名前で呼ばないでしょ。

まあ、私の勝手な想像だけど。


女の人は、くぐもった声で話し続けた。


「あの、私ハルの母です。
初めまして。突然なんですけど、ハルの事で電話させてもらいました。
…あの、ハルが…ハルが……ぅぅ…。」


突然泣き出したハルのお母さんと名乗る人。

お母さん。

ハルに何かあった。そう思った。

心臓がバクバクして、息苦しい。

はやる気持ちを抑え、お母さんに続きを促した。


「ハル君、何かあったんですか?」

「…ハルが…ーーーーーー。」