いつものように、12番目の桜に話しかける。

『おはよう。今日ね、ヨウちゃんが転校してくるんだよ。最後に会ったのは保育園の時だから…12年ぶりか。ヨウちゃん私のこと分かるかなぁ。んー、きっと分かってくれるよね?
ヨウちゃん…』




「杏里ちゃん。」

突然名前を呼ばれ振り返ると、

「小林君、吉田君。」

「おはよう、杏里ちゃん。」

ニッコリ笑う小林君と、ちょっと不機嫌そうな吉田君がいた。

「おはよー。吉田君、どおかしたの?」

「あー、コイツの事は気にしにいで。朝はいつもこうだから。」

吉田君に聞いたのに、なぜか小林君が答えてくれる。


「二人は仲いいんだね。」

「俺等、幼なじみなんだよ。家も隣なんだぜ。」

「幼なじみかぁ……。」

いいな、ずっと一緒って事だもんね。



私は自転車をおしながら小林君達と一緒に学校に向かった。



「そう言えばさ、今日転校してくる奴と知り合いなのか?」

転校?あー、ヨウちゃんのことか。

「うん。ヨウちゃんとは、」




「杏里ー。」

私が言いかけた時、ちょうど校門にいた裕子と会った。


「裕子、おはよう。」

「今日は遅刻しないで来れたみたいね。」

誰かさんのおかげで。っと、私にしか聞こえない声でつけたしてニッコリ笑った。




そのまま4人で教室に行くと、クラスは転校生、ヨウちゃんの話題で賑やかだった。