「あの、吉田君?」

「…あー、わりっ。」

吉田君はそれだけ言うと食べ終わったお弁当を預け、自分の席に戻って行ってしまった。


「あんま気にしないでな?ハルはいつも飯喰ったら昼寝タイムなんだよ。」

「そうなんだ。」

吉田君のいる方を見ると、確かに机の上に頭を預け寝ていた。


「アイツの事気になる?」

小林君はニヤニヤしながら聞いてきた。


「気になるって言うかね、」

「この子はダメよ。」

「ダメって?」

裕子の言葉に小林君は興味があるとでも言いたげな表情で聞いてきた。


「この子ね、」



「杏里ー、裕子ー、聞いた?転校生くるみたいだよ。しかも男。うちのクラスだってぇ。」

裕子が言いかけた時、同じクラスの梓が話かけてきた。


転校生か。女の子だったら良かったのになぁ。

「いつ来るのよ?」

「今日だったらしいんだけど、遅れてて明日来るみたいよ?
名前が確か丸山洋介君だったかな。」

洋介?



「ほんとに丸山洋介?」

「そうよ。さっき先生から聞いたから確かだよ。どしたの?」

梓も小林君も不思議そうに私を見てきた。


「杏里…。」

裕子が嬉しそうに私の名前順を呼ぶ。


丸山洋介。

裕子はヨウちゃんを知ってる。前に話したから。






ヨウちゃんが帰ってきたんだ。