「最近は自分の価値がわからないからな」

雅樹は空を見上げながら、呟いた

「どういうこと?」

「歌手になれた時は俺は勝ちある人間なんだなって思ってたからさ」

まぁ、こんだけ売れればそう思うだろうな…

「アーティストになれたのは価値ないと無理だったはずだしね」

「でもまぁ、本当は価値なかったから仕方ないんだけどな」


…価値がない人なんて居ない

「そんなことないよ、雅樹は凄いよ」

「お世辞は良いよ」

苦笑いしながら話す雅樹を見ていると不満になる

「ファンいるじゃん」

「あれは晃さんのおかげ、晃さんのテクニックは尊敬だよな」

「まぁ、晃さんは別世界だよね」

「俺の目標だからさ」

晃さんを憧れるのはわかる
みんな、そうだと思う

「まぁ、でも晃さんだけじゃないよ
 いつも歌録りの時尊敬してる」

「どこが?」

「音の聞き取りは凄い
 他の人にはない力があると思う」