「ば、馬鹿!そ、そんなの分からないじゃない。私はこの三年間、貴方に振られたんだと信じて…ヒック…」


そっと抱き寄せて



「ごめん。だけど色んな花言葉やいわれを教えてくれたのはお前だぞ。だから知ってるもんだとばかり。なのにお前から何の連絡もなかったから他に好きな奴が」


「馬鹿!貴方だけなの私には。だから振られても大事に育ててたんだから」


「ん。今度は俺から言うよ。好きだ!誰よりもお前が」


「うん…うん」


もう何も話せず貴方の胸に顔を埋めてただ泣いていた。


そんな私の耳元でずっと「好きだ」って…


――





「ママ、今年も綺麗に咲いたね」


「そうね」


今年の夏もまた木槿が満開に。


あれから十年になるのかしらね。


私の横には優しい笑顔の貴方がいつもいてくれる。


木槿は綺麗に咲いて次から次へと時代を紡いでいく…




*END*