カフェを出て役所へ向かう道すがら
「薫子」
「うん?」
「そのワンピース」
「あ、これね。あの二人からのプレゼントなの。いくら籍を入れるだけだとして も実質的には結婚式と変わらないからっ て。でも白は結婚式のウェディングドレ スだからこの色ねって」
駆一郎が改まって
「薫子…結婚式したかったか?ごめんな 」
すまなそうな顔をしている。
「何を言ってんのよ。8月25日に籍を入れたいって我が儘言ったのは私なんだよ 。それにこんな真夏に結婚式なんて暑すぎて嫌だもん。前に言ったように秋か冬 に披露がてらやればいいじゃない。両方の親もそれでいいって言ってくれたし」
そう。
別に結婚を焦ってるわけじゃない。
ただ近々どっちにしろするなら今日と言う日に『若桜薫子』から『宮沢薫子』に なりたかった。
だって…
「あ、忘れてた。薫子お誕生日おめでとう」
「もう本当に遅いよ。毎年0時きっかりに言ってくれてたのに今年に限って」
そう、8月25日は私の誕生日。
「悪い。夕べちょっと飲みすぎて爆睡してた」
あら、珍しい。
「ヒロと礼音君が独身最後の夜だから飲もうって」
「えっ?」
ヒロ達と飲んでたの?
「そのまま三人雑魚寝」
はぁ~呆れちゃう。
でもよく二日酔いにならなかったわね。



