「これ、バレンタインのチョコなんだけど…」
「ん、アポロチョコ?」
「ううん。あの、あのね今年はね、作ってみたんだけど」
時間が経つと迷ってしまいそうだから、さっさと渡してしまう。
「……」
彼は私の顔を見ている。
早く受け取ってよ。
心が折れちゃうじゃない。
「あのぅ、アポロチョコのがよかった?…今から買いに行って…来ようか」
言葉がしりすぼみ…俯き加減になる。
……えっ?
気づくと…抱きしめられている。
そして耳元で
「ありがとな!俺、めちゃめちゃ嬉しい」
「アポロチョコじゃなくても?」
「うん。これの方がよっぽど嬉しい。だって超がつく不器用なお前が一生懸命作ってくれたんだろう?サイコーのチョコじゃん」
去年、アポロチョコがいいって言ってくれたのは私に気を使わせない為だったのか。
ありがとう…優しいね。
「た、食べてみて」
「ん」
ラッピングをほどき、チョコを取り出す。
「ごめんね、綺麗に出来なくて」
「俺にとっちゃ完璧」
口に運び
「うん、美味い」
「ほんと?」
「あぁ。お前も食ってみるか?」
「うん」
手を差し出したら…
えっ?
キスされた。
ほんとだ…
甘いね。
でも…
甘いのはチョコじゃなく…
貴方だよ!!
※Fin※



