ドアの前で振り返るとステンドグラス越しの夕日が鼻歌を唄っている顔を染めている。 「赤いリンゴに唇よせて~」 戦後に流行った「リンゴの唄」 そう、姉の時間はあの時から止まったまま。 義兄の戦死の公報がきたその日から。 弟夫婦の私達をいつの間にか両親と思い込み。 私達も75を過ぎ、姉は88に。 でも姉はまだ20過ぎで私達の「娘」 義兄の着物を…着る人のない着物を縫い続ける老眼鏡を掛けた私達の「娘」 *終* 【800文字で三題噺:縞模様、穴、ステンドグラス】