「真華をそういう道具に使うなよ」
「あら、バレた?」
あたしはへへっと笑って、彼が持ってきてくれたコーヒーに口をつけた。
コーヒーやカフェオレを飲むたびに、喫茶店のことを思い出す。
そろそろ戻りたいな。
店長に会いたいし、またみんなにあたしの淹れたカフェオレを飲んでほしい。
そして……あのおじいさんにも会いたい。
今何やってるんだろう。
まだ元気でいてくれればいいんだけど。
あたしは立ち上がって、伸びをした。
「ちょっと散歩にでも行こっか」
「なんで?」
「運動よ。妊娠して3キロも太っちゃったから」
あたしは真華を抱っこして、玄関に向かった。

