「あたしの娘はマカちゃんね」
「もし男だったらまた考え直してやるよ。俺ってセンスいいんだよな〜」
自画自賛しながら、後ろ頭をかくマサキ。
ほんと、調子いいんだから。
「白石さん、そろそろいきましょうか」
突然病室に看護士さんが入ってきた。
「もう、ですか?」
「はい。今日はこの時間しか」
車椅子を用意してくれたみたいで、そこに乗るように促される。
「雪乃、大丈夫。赤ちゃん元気に生まれるよ」
「……そうだよね」
あたしは最後に、マサキに笑顔を向けた。
「がんばっておいで。待ってるから」
「うん、ありがと」
あたしは車椅子に腰掛けた。
そっと押され、マサキが見えなくなるまで彼を見つめていた。