突然手首を掴まれ、あたしは振り返った。
「離して」
「いや、今は離さない」
マサキが冷たい瞳であたしを見下す。
「なに?」
「逃げんなよ。それでも母親になるやつか?」
いつものマサキじゃない。
あたしは手を振り払った。
「何をしようがあたしの勝手よ」
「いい加減にしろ!」
思わず身震いした。
こんなに怒る彼は初めて。
「母親になるんだろ?ならもっと強くなれよ!生まれてくる子どものために、おまえがしっかりしなきゃいけねぇんだろ?」
頬を涙が流れそうになった。
そうだ、あたしが弱かったら赤ちゃんがかわいそう。
強くあらなきゃいけないのに……

