部屋に入ると、メガネをかけた優しそうな顔つきの先生が待っていた。
「そちらにお座りください」
「失礼します」
用意された椅子に腰掛けると、先生はカルテを持ってあたしを見た。
「ずばり、あまり体調がよろしくありませんね。このままだと危ないかもしれません。入院をお勧めします。そして少し早いですが、帝王切開を……」
「………」
何も言えなかった。
あたしはどこも痛くないのに、どこが悪いのよ……
「できれば、自宅療養がいいんですけど」
隣でマサキが言う。
「今はまだいいかもしれませんが、近くなったらせざるを得ませんよ」
「分かりました」
はっきりした口調で彼が答える。
あたしは圧倒されて、彼を見上げていた。

