「何かあったの?」
彼の顔を覗き込みながら尋ねると、いきなり抱きしめられた。
「ま、マサキ!?」
どうしちゃったんだろう。
あたしの手は置き所に困って宙をふらつく。
「こんなつもりじゃなかったのになぁ……」
「えっ?」
「…なんでもないや。気にしないで」
にっと笑って、そのまま部屋を出て行ってしまった。
何だったんだろう……
あの、悲しそうに微笑んだ彼の顔が頭から離れない。
大丈夫、よね。
ちょっとした気まぐれだよね、彼のことだから。
きっと、明日には何ともなくなってるんだろうし。
あたしはあまり気にしないように、早くベッドに入った。

