その夜、あたしは部屋の掃除をしていた。
亮也との思い出は探せばすぐに見つかる。
だからあたしは辛くなる。
でも捨てるなんてできなくて、やっぱり弱いわ、自分。
――コンコン
突然ノック音が聞こえた。
「雪ちゃん?入っていい?」
扉の向こう側からマサキの声。
「どうぞ」
彼は入ってくると、部屋を見回した。
「男でも着れる服とかないよね?さすがに2日連続同じ服だったから着替えたいと思ってさ」
「あっ、亮也が使ってたのなら」
いつでも泊まれるようにって、色々揃えてたんだ。
「ならいいや」
「えっ、別に構わないけど」
「俺が良くないの。それ着たら雪ちゃん思い出しちゃうでしょ」

