確かに、適わないな。
料理の腕前も
この性格も。
まるで傷ついた心が癒やされるようだな。
出逢って間もないのに、こんなに近くに居てくれる。
「マサキさん」
「ん?」
彼はご飯をかき込む手を止め、視線をこちらに向けた。
「本当にありがとうございます」
あたしは頭を下げた。
なぜか涙が溢れそうになって、顔を上げられない。
「雪ちゃん、俺は当然のことしてるって思ってるから」
「え?」
「まぁ、いつか話すよ」
白い歯をにっと出す、マサキさん独特の笑顔。
この言葉を、今のあたしは深く考えなかった。
何よりも、マサキさんの温かさがあたしを支えてくれたから。

