そろそろ5時。 まだ彼は来ていないみたい。 「少し早めにあがってもいいよ」 面白おかしそうに店長が言った。 どうも冷やかしているみたい。 「時間までします」 「あら、そう?」 と言ってもあと十分くらいなんだけど。 新しく来たお客様にお冷やを持って行き、ふと外を見た。 「あっ……」 来てる。 外からあたしに手を振っていた。 他のお客様見てるし。 あたしは周りの目を気にしながら、控えめに手を振った。