彼はあたしのお腹に目を落とす。
「まだ膨らんでないね」
「たぶん、目立たないタイプなんだと思います」
あたしは照れ隠しに後ろ頭をかきながら、弱々しく笑って見せた。
「マサキさんが拾ってくれたキーホルダーは、彼との思い出のひとつなんです」
「だからあんなにね」
「はい」
きっとどんなにお礼を言っても言いきれないと思う。
「今日さ、何時頃にバイト終わるの?」
「5時頃、ですけど……」
「んじゃ、それぐらいに店の前で待ってるから」
「はい!?」
驚くあたしをよそに彼はケーキの欠片を口に放り込み、そこだまりのカフェオレを飲み干した。
「店長!勘定よろしく」
「はい!」
店長が慌ただしくレジの方へ駆け寄った。

