彼はあたしから視線をそらして、カフェオレに手をつけた。
「ん、うまい」
その彼の言葉に、少しにやけてしまうあたし。
「ねぇ、名前教えてよ」
あたしは顔を上げた。
「名前?」
「うん。ちなみに俺は本田マサキね」
「白石雪乃、です」
「きれいな名前だね」
「あ、ありがとうございます」
あたしは照れを隠すように、おぼんで口元を隠した。
「なんか話してよ、他に客いないし。ねっ?」
急に彼はそんなことを言った。
「話、ですか……」
「雪乃ちゃんのこと知りたいな」
甘えた口調の彼。
あたしのこと知りたいって、変なの。

