「これは、その……」 別に否定するとこじゃないのに どうしたんだろう、あたし。 なぜか戸惑いを隠せない。 「なぁんだ、彼氏いるんだ」 「違っ、その…彼氏だった人が亡くなっちゃって……」 「えっ?」 なんでこんなバカ正直に答えてんだ、あたし。 きっと、誤解を生みたくないんだな。 「なんか、変なこと聞いて悪かったな」 「いえ、お気になさらず……」 あたしはカウンター越しに彼と向き合った。