――カラン
「いらっしゃいま……あっ!」
お客様の顔を見て、思わず叫んでしまった。
なぜなら、店の扉を開いたのはこの前あたしのキーホルダーを拾ってくれた人だったから。
「知り合い?」
店長があたしの顔を覗き込んで尋ねる。
「あっ、この前の」
相手もあたしのことを覚えてくれていたよう。
「あっ!す、すみません!この間はどうも……」
「へぇー、ここで働いてたんだ」
「はい。お好きな席へどうぞ」
あたしは頭を下げた。
すると彼はにっこり笑って、あたしを見た。
「あんたと話したいから、カウンターに座る」
「えっ?」

