ここは人通りが少なくて、声をかけられたのは確実にあたし。


ゆっくり振り返ると、あたしと同い年くらいの男性が立っていた。


少し長めの茶髪で、女の子のような顔立ちをしている。


彼の手には何かが握られていて、でも暗くてよく見えない。



「これ、落とされましたよ?」

「えっ?」


彼はゆっくりあたしに近づく。


それからあたしの右手を取って、彼が持っていたものを握らせた。


それを見て、あたしはすぐハッとした。



「亮也……」


それは、亮也とお揃いで買ったキーホルダーだった。