お母さんはあたしの肩を掴み、目をしっかり見つめた。


「安易な気持ちで産むなんて言わないで!今から先生呼んでくるわ」

「待って!あたしはもう産むって決めたの!」

「だめよ!絶対に認めないから」


お母さんは病室を出ようとした。


あたしは急いでベッドから抜け、お母さんに後ろから抱きついた。



「お願い、します…産ませて下さい……」

「雪乃?」

「大切な亮也の子どもなんです…だから、お願いします……」


あたしはお腹を抱えて、その場にしゃがみこんだ。


お母さんは何も言わず、あたしの肩を抱いた。