「雪乃」 突然男の人の声があたしの中に響いた。 聞き覚えのある、優しくて綺麗な声。 来てくれたんだ、マサキ…… あたしは顔を上げた。 暗くて何も見えない視界の中に、少しずつ明かりが灯り始める。 空を覆っていた雲が流れて、満月が顔を出した。 月明かりがその姿を写し始めた。 ずっと会いたかった人。 あの人が、あたしと真華の前に立っていた。