「真華、知らない人についていっちゃダメってママ言ったでしょ?」
「しってるおにいさんだもん!ママのお友達だったから」
「ママの友達?」
大きく頷く真華。
まるで心拍数が上がるように、呼吸が苦しくなる。
「どんな人だった?」
気がつけば、真華の肩を掴んでしつこく尋ねる自分がいた。
「髪の色は?」
「んーとね、ちゃいろだった」
「顔は?」
「女の子みたいな顔だった」
間違いない、マサキだ……
まだここらへんにいたんだ。
あたしのことを気にかけてくれたのかな?
だからマサキは真華に会いにきたんだよね。
「真華、ちょっとの間ひとりでお利口さんできる?」
「うん!」
「ちょっとママ出かけてくるね。すぐ戻るから」
あたしはエプロンを外してカーディガンを羽織り、駆け足で外に出た。

