それからバイトの子が続いて2人やってきた。
「ではみなさん、今日もがんばりましょう!」
「はーい!」
午前10時
“cafe MAKALIA”開店。
今日も開店直後からたくさんのお客様が来てくれた。
「あっ、いらっしゃいませ!」
見覚えある顔に、あたしは声を上げた。
彼は右手を小さく上げ、奥の席に座る。
あのおじいさんだ。
あたしが独立してすぐから、おじいさんはもうこの店の常連。
そしていつものように、
「カフェオレひとつ」
ただそれだけ言って、新聞に目を落とす。
「少々お待ちくださいませ」
あたしははりきって、厨房へ向かった。

